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自分が相続放棄した後はどうなるの?

被相続人が死亡し相続が開始した場合について、ご自身や家族の分については相続放棄をした場合でも、それ以外の親族が次順位の相続人として手続きをする必要が出てくる場合があります。

家族構成として、多くの日本人が知っているサザエさん一家を想定して考えると分かりやすいかもしれません。

ちなみに登場頻度が高い人物以外で今回は、「磯野波平」の双子の兄「磯野海平」、そして妹「波野なぎえ」(ノリスケさんの母)、そしてネットで検索しても名前が出てこなかった父親を「波平父」、母親を「波平母」として登場させることとします。また、今回は事例説明ですので「波平父」、「波平母」も生存している前提とします。

※敬称略

 

① 配偶者「磯野フネ」のみが相続放棄をした場合

⇒配偶者「磯野フネ」は始めから相続人ではなかったことになり、相続人は当初から子供3名のみという形になりますので、第一順位の子「フグ田サザエ」・「磯野カツオ」・「磯野ワカメ」が相続持分各3分の1ずつの割合で相続することとなります(借金も同じ割合で引継ぎます)。

 

 

② 子3人「フグ田サザエ」・「磯野カツオ」・「磯野ワカメ」放棄した場合

⇒第一順位の相続人の子3人が相続放棄をした場合(注1)、第二順位の「波平父」と「波平母」に相続人の地位が移ります。そして、配偶者は常に相続人ですので、この時点では配偶者「磯野フネ」(相続分6分の4)、そして第二順位の「波平父」と「波平母」(相続分各6分の1)が相続人となります。

(注1)未成年の子(「磯野カツオ」・「磯野ワカメ」)の相続放棄の申述を行うのは法定代理人親権者(今回では「磯野フネ」)が行うのが原則ですが、親権者が相続する一方で未成年の子については相続放棄をするという場合は利益相反行為となります。この場合は、家庭裁判所に未成年の子(「磯野カツオ」・「磯野ワカメ」)の特別代理人選任の申立てを行う必要があります。なお、親権者が未成年の子全員(一部の場合は除く)の相続放棄に先行しまたは同時に自身の相続放棄を行う場合については、特別代理人の選任は必要ありません。また、第一順位の子である「フグ田サザエ」が相続放棄したことにより、そのサザエの子である「フグ田タラオ」が代襲相続人になるのではないかという疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、相続放棄は代襲相続原因ではないと民法887条3項に定めがありますので、このケースでは該当しません。

 

②の2 上記の②から更に第二順位の父母「波平父」と「波平母」の双方が相続放棄をした場合(注2)

⇒更に祖父母が生存していれば相続人の地位が移りますが(父または母の片方のみが相続放棄した際は一方のみが第二順位の相続人となり、その上の祖父母に相続人の地位は移りません。)既に死亡している場合については、配偶者「磯野フネ」(相続持分8分の6)そして次の第三順位の兄弟姉妹「磯野海平」と「波野なぎえ」(相続持分各8分の1)が相続人となります

 

②の3 上記②の2から更に第三順位の兄弟姉妹「磯野海平」と「波野なぎえ」が相続放棄をした場合(注2)

⇒この場合は、配偶者「磯野フネ」が全部を相続することとなります。なお、「波野なぎえ」の相続放棄により息子の「波野ノリスケ」に相続人の地位が移ることはありません。これは上記②と同様に相続放棄については代襲相続原因とはされていないからです。少し話がそれますが、もしも「磯野フネ」も相続放棄をした場合はどうなるでしょうか。この場合は、相続人が誰もいないこととなり(相続人不存在)、生前の被相続人と特別の関係があった者(特別縁故者)もいなければ、最終的に相続財産は国庫に帰属することになります。このような場合、利害関係人(被相続人の債権者・特別縁故者・管理責任を負う者、など)から相続財産管理人の選任申立てがされることや必要性が出てくることも考えられます。

 

(注2)第二順位及び第三順位の相続人について相続の承認放棄の熟慮期間3か月の起算点である自身が相続人となったことを知った時点というのは、前順位の全員が相続放棄を行い自身が相続人となったことを知ったときとなります。

 

以上がサザエさん一家をモデルとした事例となります。

なお、その他、相続開始後に更に相続人が亡くなった場合は、相続の承認や放棄がされていない熟慮期間内の再転相続、相続の承認や熟慮期間経過後の数次相続という事態となり、場合によっては今回の事例で相続人に該当しなかった「フグ田マスオ」や「フグ田タラオ」、「波野ノリスケ」一家が相続に関係してくる可能性があります。出来る限り早めの相続放棄等の対応をしておくことが必要です。