運営:司法書士佐藤貴史事務所(さとう たかふみ)
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後見等の申立てのご相談を受ける際、申立人が希望する候補者(ご自身や他の親族)が後見人等になることはできるのでしょうか?という質問や、以前ですと家庭裁判所に相談に行ったところ、「あなた(親族)では後見人になることは難しいかと思いますよ。」という説明を受けたというケースを度々伺うこともありました。
それでは、親族は後見人になれないのでしょうか?
⇒なれる場合と、なれない場合があります。
確かに、後見等の申立てのきっかけは色々ですので、親族さんが後見人等となることが適切ではないとされるケースがあるのも事実です。
家庭裁判所では、申立人が希望した人(候補者)が選ばれない可能性がある例として、以下のものを示しています。
(1) 親族間に意見の対立がある場合
(2) 預貯金等の額や種類が多い場合
(3) 本人について,訴訟・調停・債務整理等,法的手続を予定している場合
(4) 遺産分割協議など候補者と本人との間で利益相反する場合
(5) 候補者と本人との間に高額な貸借や立替金があり,その清算について本人の利益を特に保護する必要がある場合
(6) 従前,本人との関係が疎遠であった場合
(7) 賃料収入など,大きな変動が予想される財産を保有する場合
(8) 候補者と本人との生活費等が十分に分離されていない場合
(9) 申立時に提出された財産目録や収支予定表の記載などから,今後の後見人等としての適正な事務遂行が難しいと思われる場合
(10) 候補者が後見等事務に自信がなかったり,相談できる者を希望する場合
(11) 候補者が自己又は自己の親族のために本人の財産を利用(担保提供を含む。)し,又は利用する予定がある場合
(12) 候補者が本人の財産の運用(投資)を目的としている場合
(13) 候補者が健康上の問題や多忙などで適正な後見等の事務を行えない,又は行うことが難しい場合
(14) 本人の財産状況が不明確であり,調査を要する場合
以上のケースが申立人が希望した親族が後見人等として選ばれない可能性がある例となります。
ですが、あきらめてはいけません。
というのも、上記の例にあてはまるケースでも、信頼できる専門職後見人等(例えば司法書士)と一緒に後見人等の仕事を進めることが出来る見込みがある場合、下記の①または②を検討する余地は十分にあるかと思います。
①専門職を後見監督人等(親族後見人等の仕事ぶりを監督する人)の候補者とする
②親族の後見人等の候補者と一緒に専門職を複数後見人等の候補者とする
この様な場合、上記の例であっても裁判所が親族を後見人等として選任する可能性があります(最終的には裁判官の判断となりますが)。といいますのも、2019年3月18日、最高裁判所は「後見人には身近な親族を選任することが望ましい」との考えを示していますので、これまで親族が後見人等に選ばれなかった場合でも、専門職後見人が関与する形で親族後見人の支援を行い、状況に応じて親族後見人が単独で後見人の仕事を行うという事例も増えてきているように感じます。
もちろん、専門職については、報酬を負担しなければならない(本人財産から)という面はありますが、ある程度の短期間であれば、後見人では月額2万円、後見監督人では月額1万円(その他、後見制度支援預貯金や遺産分割や不動産処分等は除く)が目安となり大きな負担とはならないと考えられる場合もあるかと思います。もしも、今後、後見等の申立てのご相談をされることをお考えの方は、参考としてください。