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会社の資本金

会社法上では、会社の資本金の額は1円でも設立することは可能ですが、株式会社と合同会社の資本金の額は登記されることとなります。会社の事業を行っていく上では、登記された内容が記載されている登記事項証明書を取引先や各機関へ提出することが必要となりますので、会社設立に際しての資本金を決める際に意識しておいた方が良いポイントをいくつかあげてみます。

①外部的な信用

②当面の会社運転資金

③許認可

④税金

それでは、①~④について説明していきます。

「①外部的な信用」については、外部から見てその会社の信用度を考える際に資本金の額がいくらなのかという点は大きな要素となります。資本金は債権者の拠り所と考えられており取引をする際の判断基準となりますし、会社設立後に金融機関からの融資を受ける際にも資本金の額が多ければそれまでの資金調達力を勘案してもらえる可能性が高くなります。また、会社の設立後に金融機関で法人口座を開設する際は審査がありますので、資本金の額が少額である場合は金融機関によっては口座開設が出来ないという事態も考えられます。会社を設立する際の資本金の額は、会社設立に至るまでの経緯や発起人の資産状況などにより、調達できる金額は様々ですが、多いことに越したことはないでしょう。

「②当面の会社運転資金」については、現実的に会社を経営していくうえでは、会社の設立の準備費用に加え3か月間売上が無い場合でも会社を維持できる金額は確保する必要があるかと考えられますし、ましてや新型コロナウイルス感染症など社会情勢によってはそれ以上の期間について会社維持できることが更に理想的かと思われます。

「③許認可」については、必要な会社の基準財産が定められている場合があり(必ずしも資本金のみが基準財産とは限りませんが)、例えば【旅行業100万円~3,000万円】、【建設業500万円または2,000万円】、【労働者派遣事業2,000万円×事業所数】、【人材紹介業500万円】など、会社として行う事業に応じて資本金の額を決め、許認可を受ける必要があります。

「④税金」については、資本金1,000万円以上の場合、会社設立当初から消費税課税事業となります。資本金1,000万円未満であれば最初の事業年度は免税事業者という扱いが受けられ、消費税分加えた額を取引先に請求し受け取ることも問題はありません。なお、2023年10月1日から消費税に関し、インボイス制度(「適格請求書等保存方式」ともいいます)が開始される予定です。このインボイス制度は、消費税の課税事業者として「適格事業者登録」を受けなければ、仕入税額控除に必要な書類を発行できなくなります。従って、取引先からみれば、免税事業者から仕入れやサービス提供を受け、その請求書等を受取ったとしても、消費税の控除に使用出来なくなります(控除可能額は段階的に引下げられる予定です。)ので、取引先は事業者が多い会社の場合は、免税事業者でいるよりも消費税課税事業者となることの方が良いという判断とするケースも多くなるものと考えられます。 法人住民税については、資本金1,000万円以下(消費税と異なり1,000万円も含みます)であれば7万円、資本金1,000万円を超える場合は15万円(ともに北海道札幌市の場合)となります。                              資本金の額が基準となる株式会社及び合同会社設立登記の際の登録免許税については、資本金の額×7/1000(それぞれ最低15万円、6万円。※特定創業支援事業による登録免許税の軽減適用は除く)となりますが、株式会社は資本金約2,143万円、合同会社は約857万円を超えてくると上記の最低額を超えて登録免許税を納める必要があります。  なお、株式会社ついては、会社に出資された資本金の額のうち2分の1を超えない部分について資本準備金とすることが可能で、合同会社には準備金というものがありませんので極端な形であればほとんどを資本剰余金としてそれ以外を資本金とすることも出来ますので、会社の財産状況は充実させておきたいけど、税金面では節税したいという場合は、会社の状況に応じて資本金の額を決めるのも良いかもしれません。

ない袖は振れませんが、会社の資本金の額については、上記のポイントを押さえながら検討してみてください。